山行報告

弥山東陵
(2017年03月20日) カテゴリー:大山, 雪山

 ヘッドライトを点灯させ、大神山神社に安全祈願する。昨年を大きく上回る残雪には、多くの足跡、スキー・スノボーのラインが付いている。元谷を歩く我々を、朝日で少し赤くなった北壁と、稜線に沈んでゆく月が出迎えてくれた。素晴らしい一日になりそうだ。

 元谷避難小屋で登攀用具の準備をして、締まって雪崩も心配なさそうなカールの真ん中を歩く。左の宝珠尾根は紫色、前の北壁は青に変わってゆく。冬の山は綺麗だ、本当に美しい。壁がどんとん近づいて来ると、谷間はふかふかの発砲スチロールの様な雪で足がどんどん埋まって行く。滝沢にはクラックがあり、このまま真っ直ぐ行くのは気持ちが悪い。
 7時30分。落ちて来る小石を躱しながら、ようやく取り付きに到着した。人気のないルートなのだろうか、トレースはない。Tさんは下部の適当な場所にアンカーが作れそうにないらしく、取り付きを少し上がった所にいた。弥山東陵のオンサイトトライが始まる。
 1ピッチ目。弱点っぽく生えた木を利用しながら登る。ビレイする私めがけて容赦なく雪の固まりが落ちて来る。そしてTさんは順調に登っていった。
 2ピッチ目。私にとって記念すべき北壁登攀最初の一撃を射し込んだ。そして蹴り込んだ。人工の爪を付けた両手両足で攀じ登る。所々に生えた細い木に、支点のスリングを結びロープをかけながら徐々に高度を上げた。最初はマルチピッチの要領でサクサク順調だったが、木も無くなり、スリングを結い付けられそうな岩も無い雪稜に出た時「マジか・・」と恐怖を感じた。あそこの岩は使えるだろうか!?雪面から少し出ている岩の先端に120mmスリングを巻き付け、セルフをとり2ピッチ目の支点ビレイをした。ここから先は少し斜面が緩やかになっていたので、コンテニュアスで進む。どのくらいの間隔で登るのがいいかは雰囲気で決めた。Tさんが設置した支点を回収しながら同時登攀する。弥山西陵ではNさんと、会員外ではあるが我々の仲間が尾根の頂上を目指していた。順調そうである。東陵の切れ落ちたリッジの左側にトレースが現れたので、遠慮することなく同じ場所に足を置くことにした。私とTさんはトップを交代しながら順調に進む。途中に一カ所だけリングボルトがあったが、アンカーとして使うなら細くても生きた木の方が安心して使えるように感じた。

 切れ落ちた稜線の先にモコモコとした急斜面が現れていた。明らかにこれまでの斜面とは違っている。「そこが東陵の核心です」西陵からNさんの声が届く。私は雪面に足場を作りSABで確保する。Tさんは核心の下部でセルフビレイをした。東陵の核心部は青空の下にあった。雪の表面は氷のように固い。ダブルアックスでなければどのように登るのだろうか。アイゼンが付いた冬靴は足の先だけ雪に刺さる。木が多く露出しているので、支点には不自由しない。これならいける!!「ここは楽しいね〜」と声をかけた。
 核心を越えた辺りの直径4cm程の木で確保し、Tさんの到着を待つ。この先は岩稜地帯になっていた。あの辺りの弱点っぽい岩場を直登するか、沢に沿って右側に残るトレースを辿り巻くか相談する。決断はリーダに任せた。
 頂上かと思われた場所にTさんが待っていた。「え〜まだ上があるの」ハアハア
緩やかだが、立って歩くのにはきつい真っ白な斜面。トレースは消えていた。数歩数歩で雪の固さは変化し、他の登山者が下界を眺めている場所になかなか辿り着かなかった。
11時30分頃。なんとなく肩がらみで確保してリーダTさんの到着を待つ。剣ケ峰方向の人の姿に手を振る。2人は両手で握手をしてお互いに感謝した。

 頂上の避難小屋は2階まで埋まっていた。スキーやスノボーを担いでいる人の数も多い。7合目辺りで元谷へ滑って下り、カメラを構える人が見る方向を振り返ると、プラチナ色に太陽を反射する北壁があった。
「次は滝沢尾根かな〜えっ?天狗沢??Y師匠のところでトレーニングかな。三鈷峰とか良さそうだったけど」とかなんとか話しながら来年の計画とする。

山スキー:大山「草鳴社谷」の滑降
(2017年03月19日) カテゴリー:大山, 山スキー, 雪山

参加者 会員1名、会員外1名

 好天のなか、撮影を兼ねて定番の草鳴社谷を滑降することにした。
夏山登山道をスキー板を担いで登る。ブナ林に陽が差し、雪面が輝く(写真1)。今シーズン最後かもしれない好条件の春山とあって多くの登山者で賑わう(写真2)。

写真1:輝くブナ林

写真2:登山者で賑わう春の大山

 弥山頂上でしばらく休憩した後(写真3)、板を装着して滑降開始。8合目あたりまでは部分的にアイスバーンになっているものの、おおむね雪質は良く、軽快にターンできる(写真4)。谷に入るとしだいに雪は重くなるが、ターンにストレスは無い(写真5)。写真を撮りながらゆっくり道路まで滑降(写真6)。このルートは何度か訪れているが、今回は最高の気分で滑ることができた。

写真3:弥山頂上から剣が峰方向を望む

写真4:上部の広大な斜面

写真5:草鳴社谷の中間部

写真6:滑降経路を振り返る

 8時半大山寺、弥山頂上11時半、道路まで下山13時。(軌跡図を添付)。

草鳴社谷軌跡図